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【経営の深呼吸】一筋の煙と、組織を燃やす「隙間」の知恵 —— 『焚き火大全』に学ぶリーダーの休息

今日、遠くから友人たちが焚き火をしに来てくれることになりました。大切な仲間を最高の火で迎えたい——そう思い、改めて手にとったのが、私にとってのバイブルである『焚き火大全』(吉長成恭・関根秀樹・中川重年 編/創森社)です。焚き火のいろはを復習する中で、そこには現代の経営にも通ずる深い教訓が詰まっていることに改めて気づかされました。
日々、迅速な判断と組織の舵取りに奔走する経営者の皆様。私たちは常に、組織という「火」を絶やさず、より大きく、より力強く燃やし続けることを求められています。しかし、時にはその情熱が強すぎて、自分自身や組織を消耗させてしまうことはないでしょうか。
本書の序章に記された、バーナード・S・メイソンによる「焚き火の基礎」を紐解きながら、リーダーが持つべき「余白」について考えてみたいと思います。

焚き火の基礎 11項目

(『焚き火大全』より引用・要約)
薪の形状: 割れた木の方が、丸太のままよりも焚き火に適している。
空気の確保: 火には空気が必要である。
隙間の重要性: 火が燃えているところに隙間をあけなさい。風が通りやすいように。
炎の性質: 炎は上にあがる。薪のスティックの上に沿ってあがるように組むこと。
火の寿命: 最初の火はすぐに尽きる。沸かす・焼く・炙る・揚げるといった目的に合わせ、炭火や安定した熱を得る準備を。
五感で楽しむ: やわらかい木は香りと音を楽しみ、堅木や炭の重い火は安定した熱を得るために使う。
火のサイズ: 火は最低限度の大きさで、なるべく小さく保つ。
熱の保持: 最初の炎の熱を逃がさないように保つ。
準備の徹底: 焚き火を始める前に、必要な薪をすべて用意しておくこと。
節度の保持: 必要以上の焚き火をすべきではない。
計画性: 私たちは必要以上のエネルギー(薪)を使いがちである。すべての火は、設定される前に計画されなければならない。

「隙間」と「計画」が、持続可能な情熱を生む

この11カ条を読み解くと、焚き火とは単なる「着火」ではなく、緻密に計算された「設計」であることがわかります。例えば、「火には空気が必要である。隙間をあけなさい」という教え。
目標やタスクという「薪」を詰め込みすぎれば、組織から対話や創造性という「空気」が失われ、情熱の火は窒息してしまいます。あえて組織に「隙間(余白)」を設けることで、はじめて健全な風が通り、火は高く、清らかに立ち上がるのです。
また、「すべての火は、設定される前に計画されなければならない」という規律。大きなエネルギーを投じる前に、どのような熱を得たいのかを定義し、必要な資材をすべて揃えておく。この徹底した「準備の美学」こそが、不測の事態にも揺らがない、安定した事業を作る要諦となります。
「火を囲めば、本音がこぼれる」
週末、デジタルデバイスを置き、一筋の煙を見つめる時間は、経営者に新たな視点と深い休息をもたらします。
もしよろしければ、今度は画面越しではなく、ゆらぐ炎を真ん中にして、これからの展望や日々の想いなど、一緒に焚き火をしながら語り合いましょう。
皆さまと火を囲める日を、心より楽しみにしております。

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