主治医のような社会保険労務士法人 Shujiinoyouna Labor and Social Security Attorney Corp

AIは「模造紙と付箋」を超えたか?― SRアップ21沖縄全国大会で挑んだ、AIファシリテーションと「未来のチェックリスト」の創造

ホスト会としての挑戦と、AIという「秘密兵器」

2025年10月31日、「SRアップ21全国大会 in 沖縄」に、ホスト会の一員として参加させていただきました。 今回、私が拝命したのは「3時間にもわたるグループワークの進行役」という、非常にチャレンジングな役割です。

テーマは、全国の会員の皆様の「お困りごとお聞かせください。もしかしたら、仲間が解決、協力できるかも…」。

沖縄という最高のロケーションで、ただ集まって議論するだけではもったいない。どうせなら、この「お困りごと」を、具体的な「解決策」にまで昇華させたい。その一心で、私は従来の「模造紙と付箋」だけのワークショップに、「AI」という秘密兵器を持ち込むことに決めました。

「お困りごと」の可視化 ― すべては事前アンケートから

私たちの挑戦は、当日の3時間だけではありませんでした。 まず、事前に参加者の皆様にフォームからアンケート(「皆さんが、日頃困っていること、解決したいと思っていること」)にご回答いただきました。

結果は明確でした。「業務の効率化」が70.5%「報酬の改訂、値上げなど」が52.6%、そして「IT化、DX化が進まない」が41% と、多くの社労士が共通の悩みを抱えていることが浮き彫りになったのです。

この「共通の悩み」を胸に、当日は10ものグループに分かれて、白熱した議論がスタートしました。

AIが紡ぎ出す「集合知」 ― 議論を「知見」へ

今回の最大の実験は、ここからです。 10グループが同時に行う膨大な議論を、AIレコーダーと生成AIがリアルタイムでテキスト化し、その場で要約していきました。

進行役としての私の役割は、議論を止めることではなく、むしろ促進すること。AIが記録と要約という「作業」を肩代わりしてくれたおかげで、私自身は議論の本質的な「中身」に集中し、ファシリテーションに全力を注ぐことができました。

そして、AIの真価が発揮されたのは、議論の直後です。 従来のワークショップであれば、模造紙に書かれたキーワードを眺め、「良い議論ができたね」で終わってしまっていたかもしれません。

しかし、今回は違いました。AIが細かく要約してくれた膨大な議論データがあったからこそ、私たちは全グループの知見を即座に集約し、その場で「6つの主要課題」 として統括資料にまとめることができたのです。 (「業務効率化・DXの壁」、「報酬・価格設定の悩み」、「組織・人材の課題」 など)

沖縄の夜、熱気と感謝の懇親会

3時間の濃密なグループワークを終えた後は、ホスト会としておもてなしする懇親会の時間です。

全国各地からお越しいただいた来賓の方々からの温かいご挨拶や、全国社労士会の大槻名誉会長、若林会長、大野前会長といった重鎮の皆様からの祝電も披露され、身の引き締まる思いでした。

そして、宴の幕開けを飾ったのは、沖縄ならではの荘厳な琉球舞踊「かぎやで風」。 続いて、会場の熱気を一気に高める勇壮な「エイサー」 が披露され、参加者のボルテージも最高潮に。

振る舞われた貴重な泡盛の古酒 も大人気で、全国の仲間たちとグラスを交わしながら語り合う、かけがえのない時間となりました。

最後は、もちろん全員参加の「カチャーシー」。 立場や役職を超えて、全員が一体となって踊り、笑い合ったあの瞬間は、まさにSRアップ21の「協働(共助)」 の精神を象徴する光景でした。

「学び」を「行動」へ ― 『社労士事務所のあるべき姿 実践チェックリスト』の完成

私たちの挑戦は、議論の「統括」だけでは終わりませんでした。 全国から集まった仲間の「お困りごと」と「知見」を、どうすれば明日からの「行動」に変えられるか?

AIが要約したデータと、統括した6つの課題 をベースに、私たちは最終成果物として『社労士事務所のあるべき姿 実践チェックリスト』を作成するに至りました。この資料も4種類のAIツールを活用して作成しました。

(「業務効率化・DX」、「報酬・価格設定」、「組織・人材」 など、具体的な行動指針)

AIという最新テクノロジーと、全国の社労士仲間が持つ「現場のリアルな知恵」。そして、沖縄の文化がもたらしてくれた「一体感」。 これらすべてが融合し、具体的な「チェックリスト」という形にまで昇華したこと。これは、ホスト会の一員として、そして何より私自身にとって、最も「学びの深い」グループワークとなりました。

この素晴らしい経験を糧に、私たち自身も、このチェックリストを実践し、さらに進化を続けていきます。 ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!

そして最後に、この沖縄全国大会を「ホスト会」として1年間にわたり準備してきた、最高の沖縄メンバーの皆さんに、心からの感謝とお疲れ様を伝えたいと思います。 私自身も準備メンバーの一員として関わらせていただきましたが、皆様の情熱とチームワークがあったからこそ、この学びの深いグループワークと、心温まる懇親会が実現できました。本当にありがとうございました!