今日は少し、趣味のドライブと旅のお話をさせてください。
私は、電気自動車(EV)のあの滑るような静寂な走り心地が大好きです。
愛車のハンドルを握りながらいつも思うのですが、ノイズがなく、振動もなく、アクセルを踏めばリニアに加速するその感覚には、無駄が削ぎ落とされた「洗練された未来」があります。
一方で、イタリアの路地裏や、バリ島の市場のような、あの「ごちゃ混ぜな喧騒」もたまらなく好きなのです。
鼻をくすぐるエスプレッソの香りや、市場に漂う甘いお香の匂い。
クラクションが鳴り響き、人々が大きな声で笑い合い、時間は驚くほどルーズ(笑)。
「静寂」と「喧騒」。
真逆の二つですが、経営という視点でこの二つを眺めると、ある面白い気づきが浮かび上がってきます。
「効率」を極めると、組織はEVになる
現代の経営は、基本的に「EV化」を目指しているように思います。
ミス(ノイズ)をなくし、コミュニケーションコスト(摩擦)を減らし、最短距離でゴールへ向かう。
DXや業務効率化は、まさに組織を高性能なEVにする作業です。
それは素晴らしいことです。ストレスがなく、生産性は高い。
経営者として、まずは目指すべき姿でしょう。
しかし、ふと思うのです。
もし、社員全員が誰とも無駄口を叩かず、静まり返ったオフィスで、完璧にタスクだけをこなしていたら。
そこに「幸福(人生の歓喜)」はあるのだろうか、と。
「非効率」の中にだけ宿るもの

イタリアやバリに行くと気づかされます。
彼らの非効率極まりないおしゃべりや、予定調和ではないハプニングの中にこそ、
「ああ、生きているな」
という実感や、爆発的なエネルギーが詰まっていることに。
「無駄」は、削ぎ落としすぎると「味気なさ」に変わります。
組織も同じではないでしょうか。
廊下での立ち話、会議後の雑談、ちょっとした脱線。
そんな「人間的なノイズ」の中にこそ、実はイノベーションの種や、組織を温める熱源が隠されている気がします。
「ハイブリッド」な組織へ

私が目指したいのは、システムはEVのように快適で、でもその上で乗っている人間たちはイタリア人のように人生を謳歌している。
そんな「ハイブリッド」な組織です。
給与計算や手続きといった「守り」の部分は、徹底的にEV化(効率化)してストレスをゼロにする。
でも、未来を語る場や、人と人が関わる場面では、あえて泥臭く、人間臭く、喧騒を楽しむ。
そんなメリハリこそが、これからの時代の「豊かさ」なのかもしれません。
あなたの会社のオフィスは今、静かすぎませんか?
もし静寂すぎるなら、来週のミーティングの冒頭にでも、あえて「無駄話をする時間」を設けてみませんか?
イタリアの風のような「人間らしいノイズ」が、意外な突破口を開いてくれるかもしれませんよ。